TOPPANホールディングスのグループ会社であるTOPPAN株式会社と、株式会社トータルメディア開発研究所は、10月10日(火)に国立科学博物館で開催された国際シンポジウム「Artefacts2023」にて、メタバース上で博物館や科学館などの展示品について学ぶことが出来るスタジアムシアターを発表した。
本スタジアムシアターは、TOPPANが提供するメタバースサービス「メタパ®」のシステムを活用して製作・運用されており、先生役のサイエンスコミュニケータ(※1)が授業形式で説明を行う空間と、博物館や科学館等が保有する文化財や研究資料を、高精細映像や3Dアニメーションで忠実に再現したコンテンツ制作がセットで提供される。
また、本スタジアムシアター内では、コンテンツの放映以外に、サイエンスコミュニケータや参加者同士がコミュニケーションを取る事ができるため、博物館等がイベントや学習会などの教育プログラムに活用するのに向いている。
なお、今後は国内外の博物館・科学館・産業博物館・イベント企画会社などに向けて本スタジアムシアターを展開し、2030年までに100館以上への採用を目指すとしている。
※1 研究者とプログラム参加者との間をつなぎ、科学をわかりやすく伝える役目を担うスタッフ。
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開発の背景
近年、博物館や科学館に導入されている模型や環境再現展示の手法などは、実際に現地へ訪れる以外に体験することができず、また解説動画を家で視聴するだけでは、疑問点を質問したり、発見を誰かと共有したりすることもできない。
そこで、それら課題解決の実現に向けて、TOPPANのメタバース設計/運営ノウハウと、トータルメディアの博物館・科学館などの展示空間演出のノウハウをかけ合わせ、現地に行く以上の臨場感と双方向コミュニケーションによって、展示品についての理解をより深めることができるスタジアムシアターを今回開発した。
スタジアムシアターの特徴
■時間と空間を超えて学べる科学コンテンツ
現実では体験することのできない自然現象や地球の過去/未来のイメージなどを、半球型のドームに投影された360度の高精細映像や、3Dアニメーションによって、高い臨場感で体験することが可能。
また、3Dアニメーションの再現コンテンツはアバターと同スケールで制作できるため、実際のサイズ感や規模感をリアルに感じることができる。
■自分の好きな角度から対象物を見ることが可能
自然現象や博物館の展示物を再現した3Dアニメーションは、物体の変化や物理的に見えない力をわかりやすく表現することができるため、参加者は展示品の特徴が分かりやすい角度や、普段見ることのできない位置からなど、あらゆる角度で対象物を観察することが可能となっている。
■サイエンスコミュニケータやほかの生徒と直接コミュニケーションを取ることが可能
プログラム実施中は、サイエンスコミュニケータや参加者同士が自由にコミュニケーションを取ることができるため、自分なりの疑問や発見を専門家と共有し、新たな考え方や価値観に触れることができる。
また、サイエンスコミュニケータのアバターの後ろを来場者のアバターが自動で追従する「引率者自動追尾機能(※2)」や、特定の場所を明かりで照らす「スポットライト機能」も実装しており、案内したい場所への誘導を容易に行うことが可能となっている。
※2 TOPPANグループが関連特許出願中
「メタパ®」とは?
VRゴーグルやゲーミングPCなどの特別な機器は不要で、スマホから気軽にアクセスできる仮想空間上のバーチャルモールサービス。
複数の店舗をモールのように一つに集約したのが特徴で、ショッピング、教育、観光など様々な用途で展開している。
現在開発中の教育プログラム「端出場水力発電所」
産業技術史資料であるタービンが自然エネルギーの一つである水力を利用し、生活に必要不可欠な電気を発生させる過程について、サイエンスコミュニケータとともに理解を深めていく双方向型の教育プログラムを制作中。
高精細のCGを使ってその過程を理解し、参加者同士のコミュニケーションを通して自然エネルギーを使った新しいしくみと価値を創出できることを目指している。
◎公開予定日:
2023年度中(予定)
◎産業技術史資料提供:
愛媛県新居浜市・国立科学博物館