大阪大学整形外科と株式会社NTTコノキュー(東京都千代田区)は、AR(拡張現実)技術を活用し、高精度かつ患者負担の少ない整形外科手術の実現に向けた共同研究の成果を、2025年4月13日(日)より開催される『大阪・関西万博』にて初公開する。
本共同研究では、変形矯正骨切り術の簡便化により、従来の課題であった医師の技術依存度や手術精度の位置・角度誤差に加え、物理的な手術ガイドの製造に時間を要し、医師あたりの手術回数が従来手法に比べて少なくなるという課題を、AR技術によって克服することを目指している。将来的には、上肢手術に留まらず全身の整形外科手術への応用が期待されている。
今回、大阪・関西万博のNTTパビリオンの関係者向け展示エリアで、「メタバース外科手術」と題して、本取り組みを初めて一般公開。ブース内では、NTTコノキューのXRグラス「MiRZA®(ミルザ)」を用いたコンセプト体験や、取り組み内容の紹介などが予定されている。
大阪・関西万博での展示内容
2025年4月13日(日)から10月13日(月)まで、大阪・夢洲で開催される大阪・関西万博のNTTパビリオンの関係者向け展示エリアにて、「メタバース外科手術」と題して本取り組みが初公開。来場者は、NTTコノキューのXRグラス「MiRZA®(ミルザ)」を用いたコンセプト体験を通じて、AR技術が手術にもたらす可能性を垣間見ることができる。
■XRグラス「MiRZA®(ミルザ)」について
2024年秋に発売された、企画から設計・開発、製造まで全てを国内で行う”JAPAN MADE”のNTTコノキューデバイス製XRグラス。軽量かつ高画質を実現し、ビジネスユースおよび一般消費者向けの両方をカバーしているのが特徴。
取り組み内容
■背景と課題
従来の変形矯正骨切り術は、関節の向きや荷重バランスを修正するために骨の一部を切る手術で、以下の2つの課題が存在していた。
- 医師の技術力への依存:
レントゲンと術野の目視確認が必要であり、医師の熟練した技術に大きく左右される点。 - 手術精度の限界:
シミュレーションで決定した切断箇所と実際の切断箇所との位置誤差が10mm以下、切断道具の入射角の角度誤差が10°以下に留まる点。
大阪大学は、これらの課題を解決するため、上肢骨折後変形治癒において、事前のCT画像データに基づいた手術ガイド(専用器具)の設計・製造により、医師のスキルに依存せず1mm1°以下の高精度な骨切りを実現する新手法を構築していた。しかし、この手法では手術ガイドの製造に約2ヶ月の期間を要し、医師あたりの手術回数が減少するという新たな課題が生じていた。

■解決手法:XR技術の活用
物理的な手術ガイドの準備期間と手術回数の制約を克服するため、事前の設計データをXR技術で代替するアイデアが生まれ、医療向けXR活用に取り組む株式会社NTTコノキューが共同研究に参画。
NTTコノキューの提案により、事前設計データを用いてXRグラスに骨切り断面をAR表示することで、実際の手術ガイドがなくても高精度な骨切りが可能になった。
この高精度なAR表示を実現するためには、術野の高精度なトラッキングが不可欠であり、共同研究ではXRグラスとマーカーを用いたトラッキング手法が構築された。
上肢骨折後変形治癒における手術ガイドのXR技術による代替の試みは、世界初(大阪大学調べ)であるとされている。

■現在の取り組みと今後の展望
現在、共同研究の成果を踏まえ、臨床現場での実用化を目指して研究開発が進められており、1mm1°に近い精度の実現と、実際の手術中での利用を前提としたシステム構築を目指し、臨床試験に向けた精度実験が行われている。
将来的には、現在の上肢手術への適用に限定せず、全身の手術への応用、さらには骨折や人工関節手術を含む整形外科手術全般での活用を目指している。

関連リンク
株式会社NTTコノキュー
> 公式サイト