【実機レビュー】XREAL One Proは"買い"か?視野角57°と映り込み激減を実現。XREAL Oneとの徹底比較も

AR(拡張現実)グラスを開発・販売するXREALより、待望の最新モデル「XREAL One Pro」(直販価格:8万4980円税込)が、2025年7月24日(木)に発売される。

今回は、この注目のARグラス「XREAL One Pro」をXREALから特別にお借りし、約1週間にわたり徹底的に使い込んだ上での実機レビューをお届けする。

XREAL Oneを日常的に愛用している筆者だからこそ、先行モデル「XREAL One」(直販価格:6万9980円税込)との違いを掘り下げ、「XREAL One Proは“買い”か?」という多くのユーザーが抱く疑問に答えるべく、検証した内容となっている。特に、画角が50度から57度へと大幅に拡大された点や、新光学エンジン「X Prism」の採用により下方からの光の映り込みが劇的に軽減されたことなど、AR体験を大きく変える進化に焦点を当て、XREAL Oneとの比較を通じてその真価をお伝えする。
本記事では、ARグラス初心者の方が『結局、これは“買い”なのか?』を判断することに主眼を置き、購入の決め手となる重要なポイントに絞って解説する。

XREAL One Proを特徴づける6つの進化

筆者は普段、屋外でのPC作業や通勤時の映画鑑賞用途として、先行モデル「XREAL One」を利用している。もはやスマホと同じくらい日常に欠かせないものとして、その完成度の高さに満足していたが、「XREAL One Pro」がそれをどう超えてくるのか、海外発表時から非常に気になっていた。比較レビューに先立ち、まずは「XREAL One Pro」の特に注目すべき6つのポイントに絞ってご紹介する。

■処理性能と光学系を強化:新光学エンジン「X Prism」搭載

「XREAL One Pro」新光学エンジン「X Prism」を採用

頭脳部には、自社開発の空間コンピューティングチップ「XREAL X1」を、先行モデル「XREAL One」から引き続き採用し、安定した基本性能を維持。その上で、独自の光学エンジン「X Prism™」(エックスプリズム)を新たに搭載した。これが、後述する広視野角化と軽量化、そして圧倒的な映像の鮮明さを実現する鍵となっている。

■圧倒的な没入感:視野角57°、画面サイズ38%拡大へ

新光学エンジン「X Prism」の恩恵により、視野角(FOV)は50°から57°へと大幅に拡大。これは画面サイズにして実に38%も拡大したことを意味する。感覚としては、スクリーンが画面上に「浮かんでいる」から、「スクリーンに包まれる」という表現がふさわしい。映画やゲームにおける没入感は、比較するまでもなく劇的に向上している。

■日中の屋外でも鮮明:最大輝度700ニトの高輝度ディスプレイ

ディスプレイの最大輝度を先行モデルの600ニトから700ニトに向上。日中の明るい環境下での視認性という、ARグラスの長年の課題を大きく改善した。これにより、屋外や日差しの入る窓際といった環境でも、コンテンツの黒つぶれや白飛びが抑制され、高精細な映像を楽しめる。

■「軽量化」と「鮮明さ」を実現

「XREAL One Pro」本体上から

従来の「Birdbath(バードバス)」方式では、構造上、光学系のサイズが大きくなり、下方からの光の映り込みが避けられないという課題があった。
Birdbath方式から大きく進化した新搭載の光学エンジン「X Prism」は、ディスプレイパネル自体を0.68インチから0.55インチへと小型化しながら、前述の広視野角化を実現している。また、光学系単体で44%も軽量化し、グラス全体の良好な重量バランスに貢献。さらに、光の進路を最適化することで、レンズ下部からの光の反射を劇的に抑制し、よりクリアで色再現性の高い、純粋な映像への没入を可能にした。

■Boseとの共同チューニングによる立体音響

映像体験だけでなく、音響面も妥協はない。音響業界のリーディングブランドであるBoseと共同でチューニングされたスピーカーシステムを搭載。クリアで広がりのある立体的なサウンドを実現しているほか、ノイズキャンセリング機能も搭載されている。

■瞳孔間距離(IPD)に合わせたサイズ展開

「XREAL One Pro」は、映像の鮮明さと快適性に直結する瞳孔間距離(IPD)に合わせて、Mサイズ(57~66mm)とLサイズ(66~75mm)の2サイズを展開する。これにより、多くのユーザーが自身の顔にジャストフィットするモデルを選択可能になった。筆者のIPD(約69mm)ではLサイズが最適で、映像は極めてクリアだった。

「XREAL One Pro」開封とデザイン

「XREAL One Pro」同封物

次にパッケージや本体デザイン、同封物についてもご紹介しておこう。
パッケージ構成は「XREAL One」を踏襲している。グラス本体、着脱式フレーム、ノーズパッド(S/M/L)、専用ケース、USB Type-Cケーブル、視力矯正用の専用レンズフレーム、クリーニングクロス、説明書などが同梱される。(写真は貸し出し品のため一部付属品を除く)

「XREAL One Pro」フレーム・ロゴ

本体デザインは、一見すると大きな違いはなく、ボタン位置やケーブル接続なども「XREAL One」と同じとなる。ただ、光学設計部分が「X Prism」に変わったことで、メガネ部分の厚みが変わっている。重量はスペック上、わずかに増えているが、実際に装着してみるとその差は殆ど感じられない。フィット感については、最初に「XR・メタバース総合展」のメディア体験会で装着した際に、若干の違和感を感じていたが、当初感じたわずかな違和感も、1週間の使用とノーズパッドの調整で完全に解消された。

「XREAL One Pro」本体下から

付属品として、S、M、Lの3種類のサイズのノーズパッドが含まれており、取り替えが可能なため、自由に調整出来る。

「XREAL One Pro」「XREAL One」スペック比較

それでは、ここからは「XREAL One Pro」と「XREAL One」を比較していこう。まずは、両モデルのスペック比較表をご覧いただきたい。細かな違いが、実際の体験にどう影響するのかがポイントだ。

スペックXREAL One ProXREAL One備考
発売日2025年7月24日2025年1月23日
直販価格(税込)84,980円69,980円15,000円の価格差
3DOF/6DOF3DoF(本体単体)
6DoF対応(別途XREAL Eyeが必要)
3DoF(本体単体)
6DoF対応(別途XREAL Eyeが必要)
チップXREAL X1 チップXREAL X1 チップ
光学設計X PrismBirdbathProは映り込みを大幅に削減
ディスプレイソニー製 次世代0.55インチ マイクロOLEDソニー製 0.68インチ マイクロOLED
解像度400万ピクセル、1920×1080400万ピクセル、1920×1080解像度は同等
リフレッシュレート最大120Hz最大120Hz滑らかさも同等
視野角(FOV)57度50度Proの最大の進化点
最高輝度700 ニト600 ニト
瞳孔間距離(IPD)調整MとLから選択可ソフトウェア式IPD調整
重量約88g(実測値)約84g(実測値)体感差は殆どなし
接続方式USB-C (DisplayPort)USB-C (DisplayPort)

表から明らかなように、「XREAL One Pro」の進化は『視野角』『光学エンジン』『輝度』『オーディオ』、そして『IPDの物理選択』といった点に集約されている。15,000円の価格差がこれに見合うものなのか、核心の比較レビューに移ろう。

【比較レビュー①】視野角57°の衝撃

最大の進化点である視野角。「XREAL One」の50°でも十分に衝撃的だったが、「XREAL One Pro」の57°は、その感覚を別次元へと引き上げる。数字の上ではわずか7°の違いだが、人間の視野にとってこの差は大きい。例えるなら、標準的なPCモニターで作業していたのが、視界の両端まで広がるウルトラワイドモニターに変わった時の感覚に近い。

【映画鑑賞での没入感】

「XREAL One」では画面の端を意識することがあったが、「XREAL One Pro」では視界の大部分が映像で満たされるため、より深く物語に没入できる。特にIMAX比率の映画では、その上下の広がりの恩恵を最大限に感じられた。

【比較レビュー②】映り込み激減の真価:「X Prism」の実力

もう一つの大きな進化が、新光学エンジン「X Prism」の採用だ。 従来のバードバス方式のARグラスは、構造上、レンズの下方から入る光が内部で反射し、視界に光や自分の顔の一部が映り込む現象が避けられなかった。特に、野外や日中の明るい室内では、この映り込みが没入感を削ぐ要因となっていた。
筆者も「XREAL One」では、これを避ける工夫をしていたが、「XREAL One Pro」では、この長年の課題が劇的に改善されている。同じ環境で「XREAL One」と「Pro」を交互に装着してみると、その差は歴然だった。

【明るいカフェでの利用】

手元のテーブルからの光の反射が、「XREAL One」ではレンズ下部に明確に映り込むのに対し、「XREAL One Pro」ではほぼ気にならないレベルまで抑制されている。これにより、映像への集中力が全く途切れない。

【プレゼンテーションでの利用】

手元のPC画面の明かりが反射して視界を邪魔することがなくなった。これは、相手の顔を見ながら、視界に資料を浮かべてプレゼンするといったビジネスシーンでの活用において、大きなアドバンテージとなるだろう。

この「映り込みの激減」は、視野角の拡大以上に、日常的な使い勝手を向上させる重要なポイントかもしれない。ただし、副作用として、レンズの透過率がわずかに下がり、現実世界の視界が少しだけ暗くなる点は留意が必要だ。とはいえ、映像表示の妨げになるほどではなく、十分に許容できる範囲だと感じた。

結論:XREAL One Proは"買い"か?

「XREAL One Pro」本体正面

1週間の使ってみて、本タイトル「XREAL One Proは“買い”か?」に答えたい。
結論から言えば、予算が許すのであれば、間違いなく「買い」である。特に、これから初めてARグラスを購入するユーザーにとっては、現時点で最高の選択肢と言い切れる。1万5000円の価格差は、「圧倒的な没入感(広視野角)」と「ストレスフリーな視聴体験(映り込み激減)」への投資だと考えれば、十分にその価値はある。

では、私のようにすでに「XREAL One」を所有しているユーザーは買い替えるべきだろうか?これは、利用シーンによって判断が分かれるだろう。

【買い替えを強く推奨するユーザー】

  • 映画やゲームなど、エンタメ体験での没入感を最大限に重視する人。
  • 日中の明るい環境やオフィスでの利用がメインで、PCのサブディスプレイとして長時間利用する人。
  • 少しでも広い作業領域を求め、生産性向上を期待するクリエイターや開発者。

【XREAL Oneのままでも満足できる可能性のあるユーザー】

  • 主な用途が、就寝前のベッドの中や、夜間の移動中など、周囲が暗い環境での動画視聴に限られる人。
  • ARグラスの利用頻度がそれほど高くなく、コストを最優先に考える人。

「XREAL One Pro」は、単なるマイナーアップデートモデルではない。より多くの人にとっての「日常のツール」となる、進化を遂げたモデルだ。「XREAL One」で感じていた細かな不満点を解消し、グレードアップさせた製品と言える。ARグラスの可能性を体感できる「XREAL One Pro」をぜひ使ってみてみてほしい。

「XREAL One Pro」販売概要

  • 販売開始日:2025年7月24日(木)
  • 価格:84,980円(税込)

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参考元・引用元公式発表

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